ここ数年で「うちの企業は年間休日◯◯◯日です!」という謳い文句を見かけることが増え、「年間休日の多い企業=ホワイト企業」という認識が広まりつつあります。
しかし、僕はこれに強烈な違和感を覚えていて、今後もし僕が転職することがあるなら、そういう短絡的な謳い文句を使っていない求人に応募しようと考えています。
今回は、僕の違和感を1人でも多くの人に共感してもらいたいと思い、「年間休日を増やさないでほしい 」という労働者としての本音についてまとめてみました。
年間休日を増やすことのデメリット
多くの労働者にとって、年間の休日数は重要な指標の一つです。一見すると、休日が増えることは労働者にとってプラスに思えるかもしれませんが、現実はそう単純ではありません。実は、年間休日の増加が必ずしもすべての労働者にメリットをもたらすわけではないのです。
激務化する
まず、休日が増えても、企業が求める業務の量は減少しません。
これにより、働く日数が減る分だけ、一日あたりの業務量が増加し、結果として労働の強度は高まる可能性があります。
特に、プロジェクトの締め切りや成果物の提出が求められる職場では、休日の増加がストレスや過労を引き起こす原因となることも考えられます。
休日が増えても、企業が求める業務の量は減少しない
有給休暇を取得しづらくなる
次に、有給休暇の取得です。理論的には休日が増えれば休む機会が増えると思いがちですが、実際にはその逆が起こることがあります。
多くの企業では、年間休日が増えると、その分だけ有給休暇を取得しづらくなる傾向にあります。
これは、業務を円滑に進めるために必要な人手が確保しにくくなるからです。従って、労働者が自由に休暇を取得できる機会は実際には減少するかもしれません。
年間休日が増えると、その分だけ有給休暇を取得しづらくなる傾向にある
時間給の人は直接的な減収に
さらに、時間給で働いている人たちにとっては、休日の増加が直接的な減収につながります。
こなさないといけない業務量が変わらない場合でも、働く時間が減るため、収入が減少するのです。もしくは、出勤日が減ったことの帳尻を合わせるために、出勤日に残業をしないといけなくなるのです。
これは、特に日給や時間給で働く多くのパートタイム労働者にとって大きな問題です。
時間給で働いている人たちにとっては、休日の増加が直接的な減収につながる
本質的な改善が必要
結論として、年間休日の増加は一部の労働者にとってはメリットとなるかもしれません。しかし業務量が変わらない中で年間休日を増やすことは、労働の質を低下させ、有給休暇の取得機会を減らし、時間給労働者の収入を削減するという側面を持っています。
だからこそ、単に休日の数を増やすのではなく、実際の労働環境を改善することが、真の意味で労働者の福祉を向上させる方法だと考えるべきです。
実際の労働環境を改善することが、真の意味で労働者の福祉を向上させる方法である
労働環境の改善
「実際の労働環境を改善する」という話がありましたので、それについての具体例を思いつく限り列挙してみました。
手当ての撤廃
日本では給与以外の待遇面を良くすることで従業員に恩恵を与えようとする会社がたくさんあります。交通費を支給したり、学習書籍の購入費用を会社が負担したり。大きい企業だと家賃の一部負担まで。
しかし、その分だけ基本給が上がっていないという現実があります。そのため、手当てを売りにしている求人情報を見ると「余計なことをする会社」という印象を受けます。
手当てを餌に人材を確保しようとする戦法は古いので、基本給を底上げするという本質部分の改善を最優先にしてほしいです。
みなし残業制の撤廃
制作会社などによくあるのが「みなし残業制」。残業時間に応じて残業代を支払うのではなく、あらかじめ残業する前提で残業代を決めておこうという制度です。
この制度には残業時間の記録や計算を厳密に行う必要がなくなるというメリットがあります。
しかし今は令和。業務用アプリケーションを使えば記録も計算も自動で行われます。そのため、メリットはほぼ皆無でしょう。
仕事内容がどれだけ魅力的でも「みなし残業制を採用している」という事実があるだけで「時代感が昭和・平成の会社」という印象を受けます。
メリットがない以上、「みなし残業制の撤廃」は議論の余地がないでしょう。
固定電話の撤廃
固定電話の着信音は騒音です。ほとんどの人にとって自分とは関係のない着信のせいで、職場に騒音が発生する。世の中には必要悪というものがありますが、これに関しては不必要な悪でしかありません。
セールス電話への断り対応に人件費を割くのは論外だし、問い合わせに関しても代替案はいくらでもあります。固定電話のある職場は求職者から敬遠されますので、一刻も早い撤廃が必要でしょう。
まとめ
「年間休日を増やさないでほしい」という労働者としての本音について、まとめてみました。
年間休日の増加は「”正社員”の神格化」「非正規社員への”差別”」を増長させてしまうので、雇用形態による差別をしていると思われないためにも、求人情報などで「うちの企業は年間休日◯◯◯日です!」という謳い文句は使わない方が良いでしょう。
求人情報などで「うちの企業は年間休日◯◯◯日です!」という謳い文句は使わない方が良い